ぽこあぽこ日記

強迫性障害とフォーカルジストニアと不育症と闘うピアノの先生の日常

6年ぶりの本番

先日、なんと約6年ぶりの本番がありました。

 

 

 

1か月程前に家族の知り合いからお話をいただき、もちろん話を聞いた時は

「えー!!…ど、どうしよう。さすがに無理だよなー!」

と腰が引けましたが、

なんとなーく弾けるようになる気がしてきて約1年、リハビリは順調に進んでいましたし、

 

「どうにか弾けないこともないかな…。簡単な伴奏ならなんとかなるかも…。これはもしかしてチャンス⁈⁈」

という考えもよぎりました。

 

ものすごーく迷った結果、決断した要因としては、

・譜面が幸運にも簡単だったこと

・やはり、また演奏活動できる、という喜び

 そしてそのチャンスを逃したら次はいつやっ

 てくるかわからない

・依頼者が伴奏者を探していて困っていたこと

 

 

大きくはこの3つだと思います。

楽譜が簡単だったのは本当に幸運だったと思います。

「これはきっと挑戦しろということなのかな」

と運命を感じました。

 

簡単だとは言っても、練習で家のピアノでなんとなく自分1人で弾けるのとは訳が違います。

本番です。ホールです。

その状況で手の状態がどうなるか、が不安なのです。

 

 

 

 

結果は…

 

まず合わせを2回ほどしましたが、特にはじめの合わせの際は手の不安と緊張で、久しぶりに手の違和感マックスに感じ(マックスと言っても一番酷かった頃の全く弾けないくらいではなく、ジストニアになりたての頃の感じ)、

正直落ち込みました。

『弾けてはいるけど、なんか違う音が混じってる…ミスタッチしてしまう…』

という感じです。

とにかく手がこわばって、固まっていました。

「こんな簡単な曲なのに…」

 

 

 

そこで、もう開き直ることにしました。

「本番ではたぶんある程度は症状が出るだろう」

「今の段階ではこれが現状で、ここまでなんとか弾けるようになっただけですごいことだよね!」

そう思うことにしました。

 

 

あともう一つわかった事もあります。

『家でも合わせでも、同じ曲を長時間弾いていると徐々に症状が出てくる

ということです。

何度も同じ動きをしたりして、頭の中でこだわったり試行錯誤したりして、こんがらがってくるのでしょうか⁇

不思議です。

 

 

 

本番は思ったとおり、違和感がけっこう出ました。

でもそれよりも、ホールの初めて弾くピアノで、そのホールの初めての響きで音を出した瞬間は衝撃でした。。。

これが6年のブランク。。。

 

どうしても手が言うことをきかなくてこわばってしまうパッセージや、不安だった箇所ではない、ふつーの所で変なミスをしたり…

 

 

 

 

結果、ソリストはすごく楽しく演奏できたようなので、それで良しとします。(コンクールなのでその人が良い結果に評価されたので良し。)

 

前の私ならきっと悔しくて臭い物にフタをするような気持ちでしたが、なぜか今の私は違いました。

 

 

ここまでこれたことに満足でした。

 

「今の段階では、これでいいや。これで充分」

と思えました。

 

 

強迫性障害のリハビリの面でも、この気持ちの持ちようがいいんだと思えました。

 

 

 

 

 

またのんびりとすこーしずつ、

楽しく弾けるようになれるよう、引き続きやっていこうと思います。

 

 

 

今回のこのチャンスにとにかく感謝感謝でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

脳と指先の関係

とてもとても久しぶりの投稿になってしまいました。

 

 

娘の夏休みがあったり、コロナに罹ったり…

いろいろあった数ヶ月でしたが、ブログを書く余裕がなかったという事は、強迫性障害の方がそれなりに大変な日々だったという事だと思います。

 

 

 

 

そんな辛い毎日が続く時は、ピアノに向かう気持ちや時間の余裕がないので、またお休みの日が続いてしまう事が多いのですが、

 

2〜3週間くらいあいてまたさわったりすると、それはそれでまた違う発見があったりして…

 

 

 

 

最近新しく発見した感覚は、

脳と指先の、今までとは少し違った感覚です。

 

今までは「脳からの指令で指は動いている」

という意識のもと、

フォーカルジストニアの間違った指令を脳が出している

あるいは、脳からの指令が何らかの回路の不具合できちんと伝わらない状態

 

という事を頭においてリハビリしてきました。

 

 

 

しかしその事に加えて、というか逆に、

脳は指先の感覚をきちんと正確に捉えているのか?

という事に初めて?改めて?思ったのです。

 

 

きっかけはテレビで脳科学に関するバラエティーをたまたま見ていて、

「脳が身体の感覚を捉える」

というワードを耳にした時にハッと思ったのです。

 

例えば不意に熱いものを手で触った時、無意識に手をそれから離しますよね。

それは脳がきちんと熱いものを認識して、手に指令を出したからですよね。

専門家でないのでうまく説明できませんが、

そんな感覚をピアノを弾く時にはどうだろう?

と、考えたのです。

 

 

そこで、ピアノを弾く時の指先の感覚を、これ以上ないくらい研ぎ澄まして、脳にわざわざ認識させる、という感じで弾いてみました。

 

例えば…“今、鍵盤に触れた‘“とか、“触れた感触はどうか”とか、“強く触れているのか、優しく触れているのか”とか…

 

普段歩く時、足や足先のことは考えていませんが、もし普通に歩かずに、つま先立ちをして歩いたら、足や足先を意識せずにはいられませんよね。

 

 

 

そんな感覚で弾いてみると、これがなんだかスムーズに指を動かせるではありませんか!

 

 

 

 

 

 

意識をほんの少し変えるというのはとても大事です。

凝り固まった脳にとても良い感じがします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

効果的と感じたトレーニング方法②

☆指は見えている長さではなく、手首らへんからつながっていることを意識し、手首を出発点としてそれぞれの指を動かすつもりで弾く。

(手の甲が透けていて骨が見えている感覚で。手首の、指の骨が集まっている付け根らへんを反対の手で触りながら弾くのも良い。この時、手首を少しだけ高くしながら弾くと、意識しやすく、また力も抜けやすい。)

 

 

 

 

 

 

☆音を出す時、腕のはじまり(前側は鎖骨、後ろ側は肩甲骨らしい!)を使って弾いている感覚になる。

 

 

 

 

 

 

 

☆小指(5の指)と親指(1の指)のバランスを取る。

(5本のうちどの指で弾く時も、1の指と5の指を意識する)

 

つい鍵盤を押す指だけに意識がいきがちですが、いつも1の指と5の指(両端)を意識することで、手全体のバランスが整ってくる感覚があります。

 

 

 

 

 

 

 

☆鍵盤は‘押す‘という意識ではなく、鍵盤を下げることによって、てこの原理でハンマーで弦を打ち上げ、音を鳴らしている、という感覚にする。

(実際にグランドピアノの中のハンマーの動きを見ながら弾いてみる。)

 

 

つまり・・

 

 

☆鍵盤を押したままの時、音をのばしているのではなく、響いているという感覚になる。

     ↓

自然と、弾いた瞬間に力が抜ける!

(指の重力で鍵盤を下げた後は、指がその鍵盤に軽く置いているだけ。)

 

↑これを一音一音全ての音を弾く時に感じるようにする。すると音階やアルペジオなどが格段に弾きやすくなった。

 

 

 

 

 

上↑のことを意識しながら弾けるようになったら…

 

 

 

 

☆手の形(力が全く入らず自然に鍵盤に置いた時の理想の形)を全く崩さずに、指の重さだけで一本ずつストンと下におろす感覚で音階を弾く。

この時に、音と音の幅(二音間の音程、長二度、短二度、増二度など)を指と頭に再認識させるように、一つ一つ確認しながら弾いていく。(どんなにゆっくりでも構わない)

 

↑例えば「ドレミファソ」の形で5本の指全てを一緒に弾きます。(手の形を崩さずに)その時に5本の指全てが均等に、どの指も余計な力が入ることなくストンと落ちるかどうか、

また5本間のそれぞれの音程を指と頭と耳が感じ取っているか、確認する方法もおすすめです。音階でくぐらせる時の手の形でもやるといいです。

 

 

 

 

スケール(音階練習)

今日、フォーカルジストニアになって以来一番、違和感が少なく、元の手に近い感覚で、スケールを弾くことが出来ました。

 

すごく嬉しくて、なんだか‘記念すべき日‘のような気持ちで、ブログに書き留めておきたいと思いました。

 

 

スケールは、フォーカルジストニアを患ってすぐの時期から何度も何度も、いろいろなタイミングで挑戦、練習してきました。

スケールは基本的な手のポジションや動きが必要なためか、フォーカルジストニアの手にとっては意外と難しいのです。

「まずはスケールから練習しよう」と誰もが考えるように、とにかく一生懸命になって練習したりもしましたが全くうまく弾けず、むしろスケールさえ弾けないことに落ち込んで、違和感が増していた事もありました。

 

そこでスケールは諦めて、そこにこだわるのをやめました。(こだわらないでやめる、というのは強迫性障害のトレーニングにも大切です!)

スケールはやめて、好きな曲やもう一度弾けるようになりたい曲をとにかく弾くようにしていました。

 

そうして数年が経ち、リハビリを本格的に始め、‘治るかも⁉︎‘と手応えを感じ始めてから、改めてスケールを練習するようになりました。

 

そして今日、確実にもう答えの入り口が見えた気がするのです!!

 

 

これまでのいろいろな角度からのアプローチを経て、自分の手のそもそもの違和感の発端⁈みたいな違和感の根源がなんとなくいくつか見えてきて

スケールのような基本の基本になった時に、どうすれば思い通りに指を動かすことができるのか

わかってきたからだと思います。

 

 

 

 

前にフォーカルジストニアを発症してわりとすぐの時、ネットでいっぱい調べて、フォーカルジストニアで有名な医者、とされる先生に診てもらった事があります。その方は何人もたくさんフォーカルジストニアを治してきた、という肩書きでした。その方は治療、リハビリ方法を実際に楽器を使ってレッスンもされていて、私も一度だけ受けた事があります。

たしか、スケールをひたすらメトロノームに合わせて弾く…というレッスンだったと記憶しています。

全く改善する気がしなかったので、2回目のレッスンを受けようとは思いませんでした。

 

 

 

 

 

 

フォーカルジストニアは、結局自分でしか治せないのだと感じます。

自分の身体と心は自分にしかわからないのです。

 

 

 

 

 

いろいろな意味でスケールはちょっと注意が必要なトレーニングだと思います。

 

 

 

 

娘のピアノ指導から考えたこと

☆指先の感覚を研ぎ澄ます。

 

 

4歳の娘にピアノを教えている時、ピアノを始めたばかりの子供にありがちですが、指の形がまっすぐに伸びた状態で弾きがちで、何度も「手をグーにしてからゆっくり少し開いた形で弾けるといいね」と注意していました。そこで、「なんで指はまっすぐに伸ばして弾いてはダメなんだろう…」「無意識に弾いた時に指が伸びているという事は、身体の使い方としてその方が楽、正しいってことなんじゃないのかな?」という疑問を持つようになりました。

 

指が伸びた状態と、いわゆるピアノを弾く時に正解と言われている少し曲げた状態。

速く動かすのには曲げた方がいいのかな?

伸ばした状態で動かしてみましたが、そんなに違いは無さそうです。

ではその違いは何だろう…

 

考えてみたところ、この二者は指の鍵盤と接する場所が違うということに気がつきました。指を少し曲げて弾く場合、鍵盤と接するのは指をまっすぐに伸ばして弾く場合よりも指先になります。普段、人は何かを掴んだり触ったりする時も指先を物に触れさせて、手を使います。試しに自分で片方の手でもう片方の手の指の第一関節あたりを触ってみると、第一関節よりも指先を触った時の感覚は、全く違います。

おそらく、指先の方がより脳に伝わる感覚、情報が多く、より繊細に感じ取って脳に伝えたり、また打鍵の仕方で表現したりできるのかな、というふうに思いました。

 

 

 

 

ジストニアのトレーニングで、わざと指を伸ばした状態で第一関節のあたりを鍵盤と接するようにして弾いたら、違和感が少なく力が抜けて弾けた、という感覚がありました。

それは何故かな、と考えてみました。

 

 

もしかしたら鍵盤と接する時の指先の感覚が正常ではない、脳にきちんと伝わっていないのではないか?と、ふと思いついたのです。

 

そこで、指先の感覚を研ぎ澄まし、打鍵をしている感覚(音をのばして弾く時も、‘鍵盤を押したまま‘ではなく、ハンマーで打ち上げたあと指は軽く置いているだけ。音を響かせている、という感覚)をあらためて感じ直していくという作業をしました。

すると、また一段と弾きやすくなったのです!

 

 

 

 

 

 

これが正解か、またはたまたま偶然か気のせいか…わかりませんが。

とにかくいろいろな方向から試して経験していくのは良い事なのかな、とは思います。

 

 

 

日々の娘のピアノ指導からもいろいろヒントがないか、アンテナ張ってます。

 

 

 

 

効果的だと感じたトレーニング方法

 

今年の春くらいからでしょうか、その日のストレスや気分や強迫性障害の調子に左右されずに、フォーカルジストニアのトレーニングができるようになってきた気がします。

 

毎日弾く前に、「今日の手の調子はどうだろう」とか「違和感が強く出たらどうしよう」

と言った不安な気持ちがあまり出なくなってきたのです。

 

もちろん、前の日より違和感が強く出るとか、弾いてみたら調子が悪かった、という日はありますが、それほど落ち込まなくなりました。

また別の方法、今までやった事のない方法、新しい視点でアプローチしようと試みます。

 

 

 

 

 

以下は最近、効果的と感じたアプローチ方法をいくつか挙げてみました。

 

 

 

 

 

☆手首から上と、手首から指先の感覚を別にする。

(手だけが別の人の手で、勝手に動いているような感覚にする。)

 

 

 

 

☆立って弾く。

(視界に入る景色を変えることも脳にとって良いと感じます。また、座って弾く時よりも腕や手首、肩などの余計な力を抜きやすいと感じます。)

 

 

 

 

☆指(手)の形を変えてみる。

鍵盤との接点をいろいろ変えて弾く。

 

①指をわざと真っ直ぐに伸ばした状態で弾く。

(ちょうど第一関節のあたりが鍵盤に触れている状態。)

②指をわざと丸めて指の先端で弾く。

(爪が鍵盤にあたるくらい。)

③  ①と②の中間くらいの指の位置が鍵盤と触れるように弾く。

 

※①〜③以外にも、指のいろいろな所(少し横に傾けて、など)をわざと鍵盤に触るように、バージョンを変えて弾いてみる。

 

この時大事なのは、違和感を感じない場所(接点)を探して弾く。また、明らかに変な弾き方(手の形)であっても、いろいろな接点で弾いてみるのが大事。

違和感を感じる接点は、日によって変わる場合もある。

 

 

 

 

 

 

☆弾いている時に、違和感を感じた音(指)で止まって、手首の力を抜いて、手首の角度を変えたり、指先の鍵盤との接点の場所を変えたりして、違和感がなくなったら次の音に進む。

 

 

 

 

 

 

 

☆弾いている時の手の形を全体的に見て、不自然な形をしていないか、力が入っている(突っ張っている)所がないか見る。

(違和感のない方の手と対照にして比べてみたり、ピアノの蓋に映っているのを見ながらなども効果的。)

 

弾いている指ではなく、弾いていない指が突っ張っている可能性が大。例えば4の指を弾く時に一緒に5の指が変な動きをしてしまう、などとにかく不自然な動きを目で見つける方法。

 

 

 

 

 

☆手首をわざと高くし、指先で軽めに弾く。

(指の重さだけで弾く感覚で、どこにも力が入らないようにするのがポイント。)

 

この時に途中で突っ張っている指がないか、手全体をよく見ながら弾く。

 

 

 

 

 

 

☆手首をわざと右や左に傾けたまま、音階を弾く。

 

この時に指と鍵盤の接点(触れている場所)を意識する。どこかの音で突っ張っている指がないか、全ての指をよく観察しながら。あったら止まって、突っ張らない指の角度(鍵盤との接点)を探す。

 

 

 

 

 

 

☆さまざまな方向からアプローチした上で、全てを忘れて何も考えずに弾く。

 

あらゆる方向からアプローチしてやり尽くしてくると、なんだかわけがわからなくなってきて、逆にどこに注視して弾いたらいいのかわからなくなってきます。そうした時は思い切って何も考えずに弾いてみると、驚くほど違和感なく弾けたりします。手(脳)はすべてを経験としてインプットしてくれているのでしょう。

 

あとは、以前の思い通りに弾けていた時の感覚を出来るだけ明確にイメージできたら、こっちのもんです。イメージというのは、身体がなんだか弾けそうな感じがするという感覚です。(実際には弾けません。)その、不安のない状態、自信、がとても大事だと感じます。

 

 

 

 

 

 

疲れる

何も考えないでいたい。

考えたくないのに考えてしまう。

なんでこんなに疲れるんだろう。

楽しくなんか毎日を過ごせない。

一体何がしたいんだろう。

疲れた。

 

 

そんな時にせめてもの救いは

ピアノを弾けるようになってきたこと。

それを思い出すと、なんとか生きてける。

 

 

 

前にカウンセリングの先生が、

強迫性障害が良くなったら何したい?」

と毎回聞いていたのは、こういうことなんでしょうね。

 

 

 

今日は娘の保育参観に時間に間に合って行くことが出来たので、それだけで良しとするしかありません。

習い事には遅れてしまいましたが。